大っ嫌いにさよならを
翌日の朝。普段通り教室に入った俺を、そいつらはいきなり拘束してきた。
「お、おはよう?」
一応にこやかに挨拶したものの、鉄之助の「おは」というぶっきらぼうな挨拶以外はなかった。将は無言、無表情で俺を睨み続けていた。
どうした、この一触即発な物々しい感じは!?
うろたえる俺はそのまま、外にある非常階段まで二人に連れられてやっと拘束を解かれた。
「なんだよ、朝っぱらから。俺、数学の宿題やってないから早めに学校来たっていうのにさー」
不穏な雰囲気を察して明るく喋っても、二人の顔はさして変わらない。
「…き、昨日のことか?それなら二人にとやかく言われる筋合いはねぇからな。俺とあいつの問題だ」
俺の言葉に将が鉄之助の顔を見て、鉄之助も将の顔を見るとため息をついた。
その表情にはどちらも疲れが見えるようだった。
「昨日、大変だったんだからな」
「そうだ!茉莉奈が泣きじゃくるわ、怒るわで、店には居られなくなってさ。外は外で男子二人が女の子を慰めるのを好奇の目で見られるし…はぁ」
あ、あの茉莉奈が泣きじゃくる…!?
「ど、どうせ、嘘だろ?ああ、そうか、そうやって俺の罪悪感を引き出させてあいつに詫びろっていう魂胆だろ!」