大っ嫌いにさよならを

 俺がそう言うと、鉄之助は俺が見たこともないほど怒った顔で、

「女を泣かせておきながら、それはないだろ!!」

と、怒鳴った。これにはびっくりして俺は口を噤む。

「翔、そんな事言いながら、ほんとは罪悪感があるんじゃないか?あの喧嘩は元はといえば、お前が考えなしに言った言葉がいけなかったんだから」

 それを言われれば俺は何も言えなくなる。でも、元をたどったらそこに行き着くだけで、全て俺が悪いわけじゃない。

「じゃあ、俺にどうしろって言うんだ?仲直りして、好きでもなんでもないのにあいつと付き合えっていうのか」

「極論を言えばそうだ」

 当然とでも言わんばかりに言いきった将に俺と、何故か鉄之助までも口をあんぐりさせていた。

「ちょ、たもっち?そんな話にまでなんの?そ、それはいくらなんでも…」

 俺は鉄之助の言葉に大きく頷いた。

「本気にするなよ。今のは…ほんの冗談で、将でもそれは否定するだろうと思ったから言っただけで」

 俺と鉄之助に相変わらずシニカル顔を向けて、将は教室へと戻っていった。

「…なんだありゃ?」

 俺は鉄之助と首を傾げることしかできなかった。

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