大っ嫌いにさよならを
茉莉奈がぽってりした唇を突き出して、伏し目がちに呟いた。
あー、もう、いちいちそんな俺の心を掻き乱すような仕草をするんじゃない!
「間違ってないだろ。お前のしてることはストーカーだ!学校に来てないから油断してたわ」
俺はあいつから目をそらして体を横に向ける。頬杖をついて、意味もなく天井を睨む。
精一杯の抵抗だ。俺は別にお前に屈した訳ではないという。
「もしかして…私のこと、待ってた?」
俺の抵抗をいとも簡単に崩す茉莉奈に、思わず「違う!」と大声を出してしまう。しかし、あいつと目が合って俺は言葉をなくす。
てっきり、俺をからかっているのだろうと思っていた。でも、あいつは静かに涙を流していたんだ。
茉莉奈はすぐに顔を隠すように手で覆った。そして「…ごめん」とだけ言い残して俺の前を通り過ぎ、リビングから出て行った。
間もなく玄関のドアが開けられる音がして、それはゆっくりと閉まった。
俺が、茉莉奈の考えをまったく理解できなくなったのは言うまでもない。
誰かあいつの言動を、弁解してくれる親切な方はいないのか?只今、絶賛大募集中だ。