大っ嫌いにさよならを
俺は止まっていた箸を動かし、せっせとカツ丼を口の中へかき込んだ。早く食べ終わって食堂からの脱出を目論んでいた。
隣の将も同じらしく、お椀の中に残ってるうどんは少ない。
これなら、大丈夫だろう。
俺は最後の一口を咀嚼し、将もうどんのだしを喉に流し込んで、二人同時にお椀をテーブルに置いた。
後は席を立ち、ここから離れればいい。…と、そこで俺はのぶ丸の様子を見てみた。
そして、俺は信じられないものを見てしまった。
奴は…
「はー、うまかった!ごちそうさま…ん?なんだ、ダブルショウも食べ終わったのか」
大皿のカレーを約五分の間に平らげていたのだ!
お前の胃は怪物か?それともお前自身が怪物で人間と体の造り自体が違うのか?
「なんていう早食い…ちゃんと味わえよ」
食堂のおばさん泣かせの早食い怪物だな。
呆れる俺たちの目も気にしないで、げっぷするのぶ丸は水を飲み干した。
そして周りを警戒するように見回して体を乗り出させると、さっきまでの表情とは違う笑みを浮かべ囁いた。
「この間さ…校門に違う高校の女子が来てただろ?その子、お前の知り合い?」