大っ嫌いにさよならを
昼休みのグランドは今日もサッカーをして遊ぶ男子が大多数だ。それを見てキャッキャ、キャッキャと騒ぐ女子もいた。
その隅に追いやられるようなバスケットゴールに、俺と将はよじ登って座っていた。
「はぁー、なんだよあれ。のぶ丸のくせに」
「あれこそのぶ丸の本性だ。知らなかった翔に俺は驚いたぞ」
そう言った将に俺は驚いているよ。…人間って、怖いな。
「しかし、気になるな。今日、天津が翔に会いに来るか分からないが、その可能性は極めて高いと見る」
「…んなわけないって。泣かしてばっかの俺にまた会いに来る女なんていないよ。いや、俺は別に泣かしてやろうなんて気はなかったんだ。あいつがいつも勝手に泣くんだけどさ」
言い訳のように言って俺は息を吐く。すると、将は何かを思いついたのかニタニタと笑って俺を見下ろしていた。
「な、何?その顔、気持ち悪いからやめとけ」
「…ピンチはチャンス。日本人の得意分野だぞ」
「は?意味わかんね。あぁー、やっぱり鉄之助がいないと将が変だぁ!」
天を仰ぎ見ると、薄い水色の空に雲がぷかぷかと浮かんでいた。俺にはそれが鉄之助のように見えていた。