大っ嫌いにさよならを
俺はいつもと変わらず放課後になると帰る支度をして将と別れ、校舎を出た。
そうして、いつもと変わらずまっすぐ家に帰るはずだった。
…あいつが、来てなかったなら。
何だよ、このお決まりな展開は!?
天津茉莉奈は俺を待ち伏せていると変な奴にからまれて非常に困った状況になっていて、みんな見てみぬふりして去っていく。
よく目を凝らして茉莉奈に言い寄る奴の顔を確認してみると、どこかで見た事のある奴だった。
これは仲裁に入るべきなのか?
いやいや、俺、平和主義者だし。喧嘩は良くないし…。
俺が周りにあいつを助けてくれそうな人間がいないか探していると、離れた所でのぶ丸がこちらを見ていたのに気づく。
のぶ丸は満面の、邪気のない笑顔でジェスチャーをした。
「…行け?…ヒーローに、なってみろ?」
そのジェスチャーの訳を分かってしまった俺。
のぶ丸は、俺が揉め事が嫌いなのを知ってて自分はあんな離れた所に隠れてるんだな。
おまけにゴーサインをして、親指を立ててニカッと爽やかに笑った。
冗談じゃない!なんで俺があいつを助けなきゃいけないんだよ。…俺は、助けてなんかやんないからな…!