大っ嫌いにさよならを

「あの、お取り込み中、すんません」

 けっきょく、こうなるんだよ。

 だからって、茉莉奈が俺じゃない男と話しているのが気にくわないとかじゃない。

 助けなかったら後でのぶ丸に、ある事ない事言われて俺の高校生活が台無しになる恐れがあるからだ。

 俺はとにかく相手を逆撫でしない言い方でそいつの肩をたたいた。

 振り返ったのは、やっぱりどこかで見た事のあるイケメンだ。

「あれ?翔じゃないか。久しぶりだな」

 はい、誰ですか?

「あ、ああ!久しぶりですね。ハ、ハハ」

 イケメン以外に側にいた男子二人は俺を値踏みするようじろじろ見てきた。こいつらは俺の知り合いじゃないのだろう。

 …にしてもだ。女一人に男三人は卑怯だろ、とかカッコつけてみる。

「と、ところで、こんな所で何してんすか?」

 ちらっと、茉莉奈を見てみると、信じられないとでも言うような顔してこちらをジッと見つめていた。

 勘違いするな、俺はお前のためにここにいるんじゃない。

「ああ、今、この女の子と遊びに行こうかと思って…翔も一緒に来るか?どうせ、まだ彼女いないんだろ」

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