大っ嫌いにさよならを
彼女がいなくて悪かったな。先輩風を吹かしてんじゃねぇ。
「…やめときます。だって、そいつ俺のストーカーなんですよね」
俺の言葉に全員が黙る。茉莉奈もぽかんと呆気にとられたような顔で突っ立っていた。
「あんたらも、しつこいストーカーに悩まされたくないならこいつに関わらない方が良いっす。…ってことで」
三人が俺に気を取られている間に、茉莉奈の腕をとって歩きだす。それを三人は逃すまいと止めに入ろうとしたが、
「雅人たち、どうしたの?」
と、突然、派手な印象の女子が現れたことでイケメンの顔がみるみるうちに青ざめていっていた。
それを見て、俺はそのイケメンが誰だったかを思い出すことができた。
元バスケ部の先輩で、いつもあの彼女を練習に連れてきていた雅人先輩だ。
雅人先輩の彼女は茉莉奈を見て、何事か感づいたようで金切り声を出していた。
「ま、また、私じゃない女と遊びに行こうとしたのね!?雅人っ!」
俺と茉莉奈はそれを聞き、顔を見合わせると走り出した。
日頃からこういうことがあるらしい。あの先輩も懲りればいいのに。