大っ嫌いにさよならを

 席に戻り、昨日の出来事をかいつまんで話した俺に三人は、

「…で?結局、付き合ったの、付き合ってないの?」

と、容赦なく聞いてきた。

 俺とあいつがキスした事は触れないんだな。いや、別にいいよ。別に自慢とかそういうのじゃないし。

「さぁ?」

 え?拗ねてる?違うよ、ほんとに俺も分かんねーんだな、これ。

「あいつが泣き止んで落ち着くまで待って、家まで送って、そのままバイバイした…だから付き合ったとか、付き合ってないとか俺にも分からん」

「なんだよ…それじゃ、童貞ショウがブチュッとやった勇気が報われないじゃんか。あっ!ちなみに…雅人先輩の彼女、仕向けたの俺だから、ちゃんとお礼しろよ!」

 のぶ丸は俺から聞きたいことは聞けたと、満足したように自分のクラスへと帰って行った。ちゃっかり恩を売ってから。

「ま、翔にしたら成長の第一歩だな」

 ダブルショウの片割れは俺の頭を乱暴に撫でた。

 こっちのショウは普段、勉強してるか読書してるかの真面目男子のくせに、しっかり学年のマドンナを捕まえているのだから気にくわない。ズルい奴だ。

< 43 / 63 >

この作品をシェア

pagetop