私が思ってた以上に世界は色に包まれていた。
「そうだねぇ。ずっと会ってなかったもんね…。それに、あんな早くあの人たち が、いなくなるなんて思いもしなかった」
そう言うと、下を向いてしまう強子さん。
「強子さん…?」
すると、急にギュッと抱きしめられた。
強いけど、どこか優しさがあるようなお母さんに似た抱きしめられ方をした。
「つらかったね…。月ちゃん…。でも、大丈夫。これからは、あたしが責任もっ て育てるから…」
その言葉に安心したのか、あたしの心はあたたかさで満たされた。
両親が亡くなってから、涙腺はしまっといたのに
あたしの目からは、涙がポロポロとあふれた。
「きょ、強子さん、今日あたしを呼んだのって…」
「そう。これからは、あたしが働いてる孤児院に来てもらう!あ、これに拒否権 は、ないからね?」
そう言って、ニッと無邪気に笑う強子さん。
この人には当分、かないこっこないだろう…。
そして、あたしは、強子さんに心を許し、
…孤児院に行くことが決まった。