蜜は甘いとは限らない。【完】




「…しなくていい。
そうじゃなくて、塞ぎ方それ以外にもあったでしょ?!」





無理矢理塞がれた口を開けるために顔を横に向け、息を精一杯吸い込む。



なんで、あんたなんかにこんなことされなきゃいけないのよっ




濡れた唇を美味しそうに舌なめずりをしながら触る寺島を、強く睨む。




「お前が言っても黙らねぇのが悪いんだろ」

「知らないわよっ
ていうか、退いて。離して!」

「無理」

「なんでっ」

「とりあえず、話聞け」




また動かない体を動かそうと暴れだしたあたしを今度は真剣な目で見る寺島に、動いていた体と口が止まる。




「…話って、何よ」




さっきまで暴れまわっていた自分の心臓も落ち着いてきたからか、押し倒されたままの状態でも落ち着いた声が出た。




「お前の、家の事だ」





………_____そろそろ、あたしは決意しなければならないみたいだ。




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