蜜は甘いとは限らない。【完】
哀情
舞弥side
「どえしても、聞かないとは言わないのね。
あの手紙を読んだのに」
「複雑なのは分かってるつもりだ。
もちろん、言いたくないのも」
「ならなんでよ」
じっと上から見つめてくる蒼に映る自分を見て言う。
その蒼に映ったあたしの顔は無。
そんなあたしは、寺島にはどういう風に見えているのだろうか。
「俺の、知らないことが多すぎる。
なのに親父は俺よりお前のことを知ってる」
そんなあたしから目を離さない寺島。
どうして、寺島がそんなこと言うの。
「...なにそれ、ヤキモチのつもり?」
違うよね?
さっきも隆哉さんにからかわれたときだって、違うって言ってたものね?
「...悪いかよ」
だけど、そう思ってしまったあたしを打ち砕くような言葉だけが返ってきた。