蜜は甘いとは限らない。【完】
「俺さ、言ったよな?
葵にお前のことを、舞弥のことを愛せと言われたって」
「うん」
「あれの後に、俺お前のこと、好きじゃないって言ったよな?」
「...うん」
「あれ、嘘だ」
「...は?」
ここにきて、なんのカミングアウト?
気のせいか、寺島の目が熱っぽく見える。
「嘘ってどういうことよ」
「そのままの通りだ」
...________。
「俺が、お前のことを好きじゃないわけが無いだろ」
...そう言って、さっきと違いゆっくり首を傾けてあたしに顔を近付けてくる。
そんな寺島を、目を閉じずに見るあたしを見た寺島は、まず瞼にキスを落とす。
「目、閉じろよ」
チュ...
軽いリップ音と共に明るくなった視界を消すように、瞼が降りる。
そうすれば今度は唇にキスが落ちてくる。
「...口は開けろ」
閉じた唇をトントンとノックするように当てられた舌を受け入れるように少し口を開けると、直ぐにその隙間から舌が入ってくる。