蜜は甘いとは限らない。【完】
お肉と生姜を大量に出していくあたしの隣で、タンタンと軽快な音を鳴らしながら手際よく切っていく佑樹くんに安心して自分も作り始める。
「あ、あとはお味噌汁でも作りますか?」
「…そうね、うん。
作ってもらってもいい?」
「はい」
全部のキャベツを切り終えたらしい佑樹くんの言葉に大きく頷く。
…手伝ってもらうと、こんなにも楽なものなのね。
まだ一品にしか取り掛かっていないのに、二品目が出来上がる様を見て思う。
「……よし」
「…こんな量、いつも1人で作ってたんですね」
本当、尊敬します。
出来上がった料理を見つめながらしみじみと言う。
…なにも、そこまで言わなくてもいいのに。
「手伝ってくれてありがとね、佑樹くん」
「いえ、こんなことで良ければいつでも手伝います。
なので、また声をかけてください」