蜜は甘いとは限らない。【完】
「あ、本当?
なら助か…」
「?
どうしたんですか、姐さん」
「え、?
あ、なにもないわ」
助かる。
そう言いたかったけど、本当に次はあるのかな。なんて考えてしまったから、言葉が最後まで出なかった。
不思議そうにする佑樹くんを尻目に廊下に出る。
「あ、ねぇ皆呼んできて。
ご飯できたから」
「わかりました!」
廊下に出たところには匂いを嗅ぎつけたのかたくさん人が居た。
その内の1人に声をかければその人は直ぐに走って呼びに行った。
「姐さん、もう運びますか?」
「そうね。
もう運び始めようか」
「分かりました」
その様子を後ろから見ていたのかお皿を持った佑樹くんが顔を出す。
聞いてきた言葉に頷いたあたしを見るとそのまま重たいだろう大きなお皿を食卓の方まで運んでいった。
…頼りになるなー、本当。
そういえば、なんの文句も言わずに手伝ってもらうのって、初めてかも。