蜜は甘いとは限らない。【完】
そこで、俺の親父に出会ったらしい。
今はとりあえず跡取りと名乗っているが、葵と一緒に跡取りから降りようとしていること。
…だけど、そう簡単に跡取りを降りれるとは考えられない。
そう言った俺に、少し戻ってきていた色のある顔をまた曇らせた。
「…なぁ、」
そんな舞弥に俺の方を向くように声を掛ける。
「?何」
「...さっき好きだと言った俺のこと、どう思った?」
「っ、今、その話は置いておいてよ」
関係ないことだと、自分でも分かってるつもりだ。
だけど、少しでもその顔を自分に向けて、そして俺のことを見て欲しかったから。
「いいから、答えろ」
だから、だろうか。
初めは関係のないことを話していたはずのに、知らずのうちに俺は必死になって答えを求めていた。