蜜は甘いとは限らない。【完】
そんな俺に、舞弥は左右に目を泳がした後に1度俺を見てから横を向き、口を小さく開いた。
「...少しは、ちょっと...」
でもボソボソとか細い声でしか話さない舞弥に、なぜか焦った俺は少し強めの声で聞き返す。
「あぁ、もう!
ちょっとかっこいいなって思ったわよ!!」
聞き返した俺を見た舞弥は叫び、答えた後に、両手で顔を覆った。
……耳まで、真っ赤。
そう、言葉を漏らせば両手で阻まれているせいか、くぐもった不貞腐れた声が返ってきた。
ヤバイ、可愛い。
いつまでも収まらないらしい耳の赤さを見て、口元が緩む。
こういうとき、黙って放っておくことが出来ない俺がからかえば、いつもの様に威勢のいい返事。
…俺から話を始めたけど、本来の俺達に戻った今の時間がすごく、大切な時間に思えた。
あ、
「ふーん...そうか。
お前が跡取り...」
「 ...何、考えてるのよ」