蜜は甘いとは限らない。【完】
考えこみ靜かになった俺に安心してか、まだほんのり赤みの残った顔を覗かせて俺を見る。
「別に、何も」
「そうは見えないけど」
内心悶えていることや、自分が今企んだことをもちろん言えるわけもなく。
「まぁそうだが、気にするな」
なんて言って、誤魔化すことしか出来なかった。
と、とりあえず。
「...まぁ、話してくれてありがとな」
「...いいけど、あれね」
言い難いことを話してくれた舞弥には感謝してる。
そういう意味を含めてお礼を言う。
「?」
そんな俺を不思議そうに見る舞弥に首を傾げる。
なんだ?
「寺島ってお礼言えるのね」
「そうか、お仕置きされたいって?
望みはなんだ、キスか?」
こいつ……。
腹が立つほど綺麗に微笑むこいつに、強く逆らえないのは惚れた性なのだろうか。