蜜は甘いとは限らない。【完】




「……分かった」





スッと耳からケータイを離せば、通話はもう切れていて。



小さく舌打ちをしてベッドの上にケータイを投げた。



……今は、




ふと時間が気になって壁にかけてある時計に目を向けて見れば、もう既に日にちを跨いでいて。




「もう、寝ただろうな」





時間が分かるとなぜか急に重くなった瞼を擦ると、ふと思った。



…なんとなく、寝顔見たい。




そう思えば直ぐに部屋を出て、舞弥の部屋に向かう足。




起きてるだろうか、いや、俺としては寝ていて欲しいが。




ゾワゾワと底から湧き上がる好奇心のせいで、さっきまで少しあった眠気はなくなった。



ピタ。




ニヤける頬を隠して舞弥の部屋の前で止まる。




「……。」




静かに襖を開けてみれば、殺風景な部屋の真ん中にある、モノトーンのベッドが見えた。




その中心部分が膨らんでいるあたり、舞弥はもう寝ているらしい。




< 151 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop