蜜は甘いとは限らない。【完】
困惑
葵side
「話は、それだけ?」
「…うん」
「分かった」
少し冷たく言ってしまったが、言ってしまった後に後悔しても仕方がない。
読んでいた雑誌に視線を戻すと、パタンとドアが閉まった。
……姉貴にだけは、あんなところに継がせたくない。
そう思ったのは、つい最近のことだ。
………_____数日前。
「…葵、」
「あ?」
あの日、姉貴が寺島のところへ帰って来なくなった何日か後に、アイツは俺のところへ来た。
その日も喧嘩して、稀浬さんに説教くらわされてた俺は誰も居ない学校を出た。
アイツはそんな俺を門の所で待ち構えてた。
「…なんの用」
「お前まで、そんな口の聞き方をするようになったんだな」
「いいから、用件はなんだよ」
「…はぁ、話にならん。
とりあえず車に乗れ。
ここでは目立つ」