蜜は甘いとは限らない。【完】
「…何がですか」
食べ終わったらしい里愛さんが珈琲を飲みながらあたしに言った。
知りたくはないが、一応。
「え?
勿論、荷物持ち」
「はぁー…」
わー、長い溜め息っ
あははっと頬杖を付いて笑うこの人はあたしのことをなんだと思ってるのだろうか。
最後の一口を飲み干して、立ち上がる。
「着替えてきます」
「可愛らしい格好か、または男装ね!」
「しません!」
そう言ったあたしにケラケラと笑う里愛さんは今日も愛らしい。
全く、見た目からは想像出来ないような性格だこの人は。
自室に戻ったあたしはクローゼットを開ける。
……行く場所によって服は変わるけど…。
これで、いいかな。なんて、少し迷った結果。
黒のパンツに白のロゴニットにした。
肩が少し出るようになってて、シンプルだけど小綺麗な感じがあたしは気に入ってる。
上にはベストか何かを羽織って、後はストールを首に巻いて…。
靴は、ショートブーツ履こう。