蜜は甘いとは限らない。【完】
「あ、ねぇこれも頂戴。
それと、そこの新作?それも貰うわ」
「かしこまりました」
あれから大体1時間後。
あたしの両腕には色んなところの有名ブランドのショップ袋がぶら下がっている。
この人、まだ買うつもりなの?
あれも、これもと指をさしては袋に詰められていく服や靴を見る。
…目が回りそう。
「んー、ちょっと休憩しましょうか、舞弥ちゃん」
「是非、そうしてください」
暫くしてお店から出たあたしたち。
あたしの両腕にあった袋は更に量を増して、腕に血が溜まっていくような気がする。
それを分かってか(いや、分かってないが)喫茶店でお茶をすることにした。
「あー、なんか思ってたものがあんまり無いのよね」
「これだけ買ったのにそれを言いますか」
「だって、これだけしか買ってないのよ?」
「可笑しいんじゃないですか?」
この際はっきり言おう。
この人は可笑しい。
金銭感覚もずれてる。
0が普通のデパートよりも多く付いていたって、「あ、これ安いわね」よ?