蜜は甘いとは限らない。【完】
この人が、っていうか家族皆画変わってる。
「舞弥ちゃん何頼む?」
はぁー…と溜め息をつくあたしの横に来ていた店員にコーヒーとガトーショコラ1つ。
と頼んだ里愛さんが聞く。
いつの間に。
「ハーブティーで」
「以上でございますか?」
「異常?」
「ご注文は、以上でございますか?」
「はい、すいません。
放置していてください」
ほんの少し見えた店員の顔に浮かんだ青筋は、気のせいでありますように。
笑顔を消さずに言い直してくれた店員をすごく尊敬する。
のに、なにも分かっていない里愛さんは未だにメニュー表を開いたままだ。
あなたが原因ですよ、里愛さん。
とメニュー表越しに少し睨めば里愛さんは小さく肩を揺らした。
「ケーキ、楽しみね」
「そうですね」
「食べた後はアクセサリー見てもいいかしら?」
「嫌です」
「え?」
「……。」
「 え? 」
「分かりましたよ、ちゃんと荷物持ちします」