蜜は甘いとは限らない。【完】
「どこかに階段なんてあった?」
外から見た限り、この家は1階建てに言えたのだけれど。
「この廊下を真っ直ぐ行けば、あります」
「...まさか遠いの?」
「家の中ですから、そう遠くはないですよ」
「ふーん...」
なんか、信用できないけど。
指で指された廊下を、言われたまま歩く。
「あ、あった」
歩き始めて数分で、階段を見つけた。
やっぱり普通の家より広いここは歩いているだけで疲れる。
「ここを上って、左...」
意外にも階段は短くて、見上げた先にいくつかの部屋が見えた。
「あれか、」
階段を上がって左に曲がれば、1つだけ黒いドアがあった。
それに手をかけ、ドアノブを捻る。
あ、似てる。
入ってすぐに思ったのは、寺島の家に用意されていた自分の部屋と似ている。ということだった。
だって、置いてある机も、椅子も、クローゼットも、テレビも、ベッドも。
配置が、似ているのだから。
「なんで、こんなに痛いんだろ...」