蜜は甘いとは限らない。【完】
「なんでって、開いたから?」
あたしの言葉になぁ?と絢梧さんに聞きながら答えた葵。
...そういえば山中があたしに言ってた気もする。
なんでなのかは分からないけれど。
「そうじゃなくて、どうしてあたしがここに居るのが分かったの」
「あぁ、GPS」
「は、」
「お前が持ってるケータイだよ」
「これ?」
GPS、それだけを言われても分からないあたしに絢梧さんが助け舟を出してくれた。
だけど、このケータイがどうかしたの?
「そのケータイ、GPSが付いてるんだよ。
俺のケータイはいつでもお前のいる場所を確認できるようになってる」
「だから、俺らは分かったってわけ」
うん、うん。
それは分かった。
だけどね?
「どうして“2人”が一緒なの?」
これが、一番の疑問だ。
2人に接点は無いはずだけれど。
「あれ、舞弥って俺の歳知らなかったっけ?」
「...知らない」
気になっていた疑問を投げつければ不思議そうな顔をする。
「姉貴、俺と同い年だよ。絢は」
「は、同い年?」
「そう。
白神絢梧、17歳。第一皇明高校2年。
よろしく、舞弥おねーさん?」