蜜は甘いとは限らない。【完】
葵side
あぁ、イライラする。
「葵ー、待てって」
「…うざ」
「うっわ、ひでぇ」
「てめぇは猫被ってろ」
「えー、俺あのクールなキャラみたいなの無理なんだよな」
こうやってへらへらと笑う絢も。
「にしてもお前の姉貴、すげぇ綺麗だよな。
あんな人嫁にもらうんだぜ?俺」
何もないようなフリをして、どんどん色んなものを貯めていく姉貴も。
なんで、自分が辛い思いしてんのに俺のことなんか庇うんだよ。
十分姉貴は俺のことを助けてくれたのに。
「なぁ、絢、」
「んー?
やっと何かする気になったか?」
「…まぁ」
「ほーぅ?
俺には何も言わないつもりかよ」
「ふん」
はい、キタ。姉弟揃って超クール。
そう言ってまたケラケラ笑う絢の腹に膝で蹴りを入れればやっと黙った。
ふぅ、ばっちり入った蹴りで少しはイライラも解消された気がする。
「痛ぇよ、ばか...!!」
「痛くしてんだから痛いに決まってんだろ」
「頼む、俺が悪かった。
だから笑うの止めろっ」
「分かればいいんだよ、分かれば」