蜜は甘いとは限らない。【完】

「は？」





いや、だから、それが好きってことなんじゃ...。



自信満々に言った寺島を見る。



「好き、確かにそういう感情もある。

だけど、俺はただ助けに行くだけじゃ嫌なんだよ」

「...どういうことだよ？」

「だから、迎えに行くくらいなら。





俺が捕まえて、自分のモノにする」




…。




「いや、ダメだから」




それ、犯罪だから。
はっきりと犯罪紛いなことを口にした寺島にツッコむ。




「...なんでだよ」



そうすれば急に子供のように不貞腐れて口を尖らせる寺島に、拍子抜けする。



さっきまでのあの鋭い目と殺気はどこ行ったんだよ...。




「...で、それは姉貴を助けるととってもいいわけ」

「あ？だから俺は、」

「はいはい、助けるんですね。はいはい」

「...もう一発くらいたいか、クソガキ」

「殴ったら、姉貴の場所教えないよ？」

「...。」




あ、黙った。


姉貴ネタには、弱いんだ。




「姉貴は今、新しい家に居る」

「あ？新しい家？」

「そう。それと、ついでに言うと今姉貴には婚約者がいる」

「...あ゛ぁん？」

「...俺睨んでも、知らねぇよ」

「誰が、婚約者だ。そいつ潰してやる」

「ストップ」