蜜は甘いとは限らない。【完】
あとは“アイツ”に連絡するだけ。
あとは“アイツ”の動きで変わっていってしまう。
折角、自分の作り上げたパズルのピースが無くなってしまっては、意味がないのだから。
「あれ、」
電話しようとケータイを見てみれば、新着メールが届いていて、開けば姉貴からだった。
[葵、婚約のことを絶対にあの人に聞かないで。お願い]
……あの人、とは親父のことだろうか。
だとしたら、俺が聞くわけないのに。
聞いたら、バレるじゃんか。
俺が姉貴に会ったって。
俺の言った人に早速電話する寺島の背中を見て、笑う。
………待っててね、姉貴。
俺なりの、盛大な恩返しをするから。