蜜は甘いとは限らない。【完】
「はぁ、今度はご飯作らないと」
片付けを始めた葵を見てやっと1つのことが終わったと思ったのに、まだあたしのしなきゃいけないことはある。
...料理、めんどくさい。
作るのは嫌いじゃないけど、なんでこんな大人数のご飯を作らなきゃいけないの?
しかも男ばかりだからどんなに作っても直ぐになくなるし。
「おい、舞弥」
ブツブツ言いながらも料理を始めるあたしに話しかけるのは、少し拗ねたような声を出す寺島。
「...なによ、寺島。
今ご飯作ってるから、相手しないわよ」
「...いつまで名前...」
「?
何か言った?」
今日作っているのはとりあえず簡単に煮物...のつもりだったのに大量に具材を切らなきゃだし、あまり良く染みないということで急遽カレーに。
...肉じゃがでよかった。
材料、似てるし。
カレーに添えるためのサラダのためのレタスもちぎっていく。
することがたくさんあるあたしに話しかける寺島には忙しそうなあたしの姿は見えていないのだろうか。
「ブツブツ言ってないで、みんな集めときなさいよ」
「もう集まってる」
「...そう」
...いつもどおり、こんなときだけは団結力のある組だこと。
レタス3玉分をちぎり終わったあたしは大皿にそれを盛っていく。
大皿は3枚分にもなったけど、あたしが運ぶのではないから問題は無い。
あとは一番重要なご飯や福神漬など順番に準備していく。
...どれも恐ろしいほどの量。
見てるだけでお腹が張る。
「...出来たわよ」