蜜は甘いとは限らない。【完】
拓哉side
「...止めてくれる、気持ちが悪いから」
「あたしはアンタが大っ嫌いだと言ったはずだけど?」
ナルシストって訳じゃないけど、いつも女には困らなかった俺は、今すごく、
気になる女が居る。
会うたびに俺を睨み付けるあの目に、いつか映ってみたいと思う。
俺の悪口しか出てこないあの愛らしい唇に、触れてみたいと思う。
...世間的にはこれを恋だというのだろう。
だけど所詮、俺らの住む世界は違っている。
俺はこの気持ちを、伝える気はない。
...理性が絶えればの話だが。
たまに見せる、あの少し幼い笑顔を、自分のモノにしたい。
...そもそも、こんなに世界の違うあいつと出逢った理由は、全くあいつには関係のない出来事からだった。