蜜は甘いとは限らない。【完】



最早言い返す気力も無くなったあたしは脱力して腕の中に凭れ込む。


もういい、疲れた。


甘えれる分甘えて困らせてやる。




「ねぇ、」

「ん?」

「あたしの家に来る?」

「っはぁ?!」

「何勘違いしてるのかは分からないけど、あたしの今の家を教えておこうと思ってるだけだから」

「え、あ、そうだよな!いや、分かってたし!」

「焦ってんじゃん」




あたし明日から仕事に復帰するし、大役任されてるのにそんなことするわけないのに。




「あと…拓哉」

「今度はどうした」

「車のところまで手、繋いでいい?」

「ぶっ」




汚い。吹かないでよ。

ただ手を繋ぎたいって言っただけなのに。



…甘えってこういうことを言うんじゃないの?




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