蜜は甘いとは限らない。【完】
倒れ痙攣している奴等に目をやりながら、車を運転させていた奴にもう一台車を用意させる。
...ったく、面倒くさい。
トントンッ
「、」
「本当、スイマセン。
家の馬鹿は怒(殺)っておきますので」
「ちょ、姉貴。
ぶっそうー」
「るさい。本当、ごめんなさい」
「...いや、いいですよ。
まぁこれ以上問題が起きれば、こちらは少し動かせていただきますが」
「動く、とは?」
葵という男の手首を捻りながら頭を下げる女に、ある考えが浮かぶ。
「その男を、家で預からせてください」
...この女は葵という男の保護者みたいなものなんだろう?
なら、問題児のこいつをどうにかするという理由で預かっていたら、この女と毎日会えるんじゃないか?
なんて、馬鹿な考えが。
...まぁこんなことに頷いてくれるはずも無いが。
はっきりと口に出してから後悔。
なのに、
「分かりました。そのときはお願いします」
え...?
女は頷いた。