蜜は甘いとは限らない。【完】
「あんた、姉貴目当てだろ」
「あ?」
ホッと安心して溜め息をついたのがバレたのか、余裕そうに笑われた。
...皺を寄せて悲しんでるのかと思えば、余裕だな。
てか、バレてたのか。
「そうだが?
なんだお前、シスコンか?」
今更隠す気もない俺が今度は余裕そうに笑ってみる。
本当は、少しの強がりだけど。
「あぁ、そうだよ。否定はしない。
シスコンだと自分でも分かってるから言うけど、姉貴はお前にやらないよ」
姉貴は、お前なんかに渡さない。
...軽く、からかうつもりだった俺に、本気(マジ)な目を向ける。
そんなこいつが、眩しい。
俺とは違ってちゃんと守ると決めたモノがあるこいつが。
俺にだって守るモノはあるが、それとは違う気がした。
1人の女を守るのと、大きなモノを守るのと。
「...俺があの女といると、不幸にするとでも?」
「さぁ?
...でも、姉貴にはちゃんとした人と出会って幸せになって欲しい。
だから道を外れても守ってるんだ」
こんなところで、邪魔されると困るんだけど。
「...そうかよ」