蜜は甘いとは限らない。【完】
希の大きな声でコピー機を見てみると、頼まれた枚数全て間違えた印刷。
…またやってしまった。
「あぁ、もう。
希が話しかけるから!」
「え、俺?!
俺なにもしてないよ!
…してないよな?」
うん、してない。
そう分かっていても素直にうん、と言えないあたしは目の前に重ねられた白紙の束を睨み付ける。
「ハァ、やり直し…」
「…な、なんかごめんな。
手伝おうか?」
頼まれる度にどこか少し間違えるて起きるこの失敗。
いつになったら失敗しないようになるのだろう。
…この失敗も、頼まれる度にイライラする原因の1つである。
ハァ。
最近更に増えた溜め息の回数。
そんなあたしを見て、横で希がワタワタと慌てる。