蜜は甘いとは限らない。【完】



「あ、あの...葵くん、瀬崎くんの彼女さんですか?」





クエスチョンマークを浮かべて後ろを向いているあたしの服の袖を、前から引っ張られたからその引っ張られた方を向く。


するとさっきの女の子が少し顔を青くしてあたしを見ていた。

って、




「彼女じゃないわよ」

「え?そ、そうなんですか?」

「あたしは葵の姉よ」

「あ...て、えぇ?!
お姉さん?!」

「...るさ」

「あ、ごめんなさいっ」






急いで拒否して姉だと言ったあたしに、女の子はさらに顔を青くした。

なんか忙しい子ね。





「それで、見たの?見てないの?」

「...瀬崎くんを見てはいないですけど、いつも屋上にいますよ」

「そう、ありがとう」





だんだん面倒くさくなってきたあたしはもたつくこの子にイライラしだしたから、答えを急かす。



意外に直ぐに答えてくれた女の子にお礼を言って、さっさと屋上に続く階段に向かって歩いていく。




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