蜜は甘いとは限らない。【完】
手を伸ばしたまま固まるあたしを見て不思議そうに可愛らしく首を傾げる葵に、殺意を覚えながらも自分も部屋に入る。
因みに、葵はもう既に部屋の真ん中に居る。
「...あ、どうも」
この部屋は個人の部屋らしく、1つだけある大きなベッドの側に座っている女の人に、頭を下げる。
どれぐらいケガが酷いのかが気になったあたしは頭を上げてからベッドを覗き込む。
...あれ?
「あ、葵!女の子!女の子殴ったの?!」
「姉貴、シー」
「、...女の子、殴ったの?」
覗き込んだベッドには、美少女が眠っていた。
痛々しい痣に、頭に巻かれた包帯。
...葵は女の子まで殴るの?
つい声を荒らげたあたしに葵が静かにと指を口に当てるけど、冷静では居られない。
「いや、女は殴ってないよ」
「は?嘘付くんじゃっ...嘘、付くんじゃないわよ」
さも当然かのように否定した葵に、少し戸惑う。
だって、どう見ても女の子。