蜜は甘いとは限らない。【完】




「いや、その、悪かったな」

「はぁ?」

「...行けなくて」

「...はぁ」





珍しく俺様な態度を取らないと思えば、そんなことか。




「いいって言ってるでしょ?
そもそもあれはあたしが行くもの。

今回は連絡がこっちに回ってきただけでしょう」




こんなことだけでいちいちくよくよしてられないのよ、あたしは。


てか、




「あんたには葵を預かって貰ってるの。
それくらいあたしがするわ」

「...。」

「ほら、仕事に戻って」

「...でも、」

「...もういいから、」




ご飯、作ってくる。



道を空けろとでも言うように道を立ち塞いでいる寺島を睨み上げる。








「なに顔赤くしてんのよ。
今日様子可笑しいと思えば、風邪?」

「...ちげぇ」

「じゃあなによ」




無駄に身長の高い寺島の額に手を伸ばす。

...うん、全然熱はない。



首を傾げるあたしに今度は耳を真っ赤にした寺島に首を傾げる。




「っ、...いいから、飯作ってこいよ。
今日はハンバーグな」

「おい、さっきの弱々しさはどこ行った」





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