蜜は甘いとは限らない。【完】




「あ、ご飯できたよ。
みんな呼んで?」

「分かりました。

おい、飯出来たってよ!!」





廊下にはスキンヘッドの男の人がいて、その人にあたしが声をかけると、皆に聞こえるように大声で呼んだ。

するとすぐに皆は集まってきた。




「んじゃ、ここにあるの全部運んで」

「はい!」

「うわ、今日はなんか張り切ってますね!
特にハンバーグ!」




若の好物だから、喜びますね。

なんて言ってるそこの刈り上げ君。
その若なんて呼ばれてる男のリクエストだよ。



だけどあたしが返事を返す前にキッチン内に溢れていた男達は作って置いていたご飯を素早く持って行った。


さて。




「ね、あたし今日は帰るわね」




側に置いていた鞄を肩にかけ、残った人に言う。




「え?

珍しいですね、どうかしたんですか?」




そんなあたしに少し目を見開いて聞く。

...えっと、




「...ちょっと、仕事抜け出してきたもんだから」

「あぁ、残ったんですね。
分かりました、車用意させます」

「ありがとう、助かる」




そこまで深く聞いてこないここの人たちは、あたしたちのことを知っているのだろうか。

...きっと、知らないんだろうな。

まぁ、そのおかげで助かってるからいいんだけど。




「姐さん、車用意できました」

「うん、ちょっとだけ待って」




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