蜜は甘いとは限らない。【完】





ガサガサと鞄の中に手を入れ要らない紙とペンを出す。




「?姐さん、どうしたんですか?」

「うん、ちょっと」





その紙に文字を書いていく。
1枚、2枚と書いて、手を止めた。




「...これ、よろしく」

「え...。
...分かりました」




…では、行きましょうか。

ニコッと笑って言ってくれたこの人はきっとお腹が空いているのだろう。
さっきからお腹をさすっている。

ごめんね。




さすっていない片方の手にある、綺麗に2つに折られたあたしがさっき書いた手紙を、この人は渡してくれるだろうか。




...きっと、渡してくれるわよね。



もう一度ぎゅっと握った鞄を肩に掛けなおして玄関に向かった。




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