蜜は甘いとは限らない。【完】
「…疲れた」
「...大丈夫か?」
あの手紙を書いた日から数日。
“用事”を済ませるために毎日寝る時間も惜しんで働いているあたしは、肉体面も精神面もズタズタだった。
...思っていた以上に疲れた。
あの人に会うのは、やっぱり好かない。
苦手だし、嫌いだから。
「今日は早めに上がったら?」
よっぽどそんなあたしの顔色が酷いのか、さっきから希が横でうるさい。
...話しかけられるとただでさえ痛い頭が...。
ガンガンしていた頭の感覚がだんだん薄れていく。
「舞弥?......弥!!」
「...だい、じょぶ...」
あれ、おっかしいな。
あたし、さっきまでパソコンに向かってたのに...。
体のあちこちに感じる痛みと、視界いっぱいに広がる黒。
あぁ、あたし、倒れたんだ。
呑気にそう呟いたあと、意識が途切れた。