蜜は甘いとは限らない。【完】
希side
「舞弥!!」
パッタリ、目の前で倒れた友達に駆け寄る。
最近一気にやつれて、目の下にも化粧で隠してるけど隠しきれないほどの隈を作ってる舞弥。
なんで、こんなになるまで1人で頑張るんだよ。
せめて事情を知ってる俺にでも、助けを求めてくれたら...っ!!
倒れたままの舞弥の手を握る。
「希!何してんだ!
さっさと瀬崎を救護室に運べ!!」
「あ...はい!」
そうだ、俺。何してんだろ。
同僚の声に急いで軽すぎる舞弥の体を抱き上げ、救護室に向かう。
「...お前、瀬崎の家のこと知ってんだろ」
「...はい」
救護室には郷下先輩がいて、俺は目だけを先輩に向けると舞弥をゆっくりベッドに寝かした。
「なら、なんで止めなかった?」
こんなにやつれてたら、無理してることくらい分かっただろ。
心配そうにしてるこの人は、いつも舞弥を使いまわしながらもちゃんと舞弥の実力を分かっている人だ。
「...先輩なら、分かったんじゃないですか?」
「何を」
「止めたって、無駄だってこと」