蜜は甘いとは限らない。【完】
「…なぁ、本当に何も教えてくれないのか?」
「...だから、いつも言ってるけどなんで教えなきゃいけないわけ」
次の日から、俺は朝と帰宅後に葵に絡んでは理由を聞き出そうとしていた。
手紙で聞くなと言われても、気になるものは仕方がない。
そんなことを続けて、今日で四日目だ。
「はぁ、そんなに気なるんだったら会社まで行けばいいじゃん」
「...迷惑になるだろ」
「こんなときに気を使ってどうするんだよ」
それも、そうだが。
...くそ、あの女のことが絡んだら自分のペースが崩れる。
はっきりしない自分に腹が立ってきた。
...よし。
「一緒にお前も行くぞ」
「...別にいいけど?」
「はっお前も姉貴に会いたいのか?
シスコン」
「あんたみたいなヘタレにだけは言われたくないな」
「...。」
いつもの調子を出そうと葵をからかってみたが、どうも上手くいかなかった。
と、取りあえず。
「車用意しろ」
「分かりました」
側にいる奴に声をかけて、車を用意させる。
寒い中、バイクでなんて行ってられるか。