蜜は甘いとは限らない。【完】
「…あいつは今さっき、倒れた」
「「は?」」
「この廊下を真っ直ぐ行ったところに救護室がある。
そこに寝かせてあるから」
連れて帰ってやれ。
弟だと名乗った葵の肩をポンポンっと弾くように叩くと、俺らが乗ってきたエレベーターに乗って降りていった。
「...兎に角、行くぞ」
「当たり前」
一瞬固まってしまった俺たちは同時に走り始めた。
...倒れたって、何やってんだよ。
体は大丈夫なのか?
いや、倒れてる時点で大丈夫なわけないか。
なんて、頭の中で色々考えながら走るとさっき聞いたように、救護室を見つけた。
救護室と書かれたプレートの付いているいドアを開けると、ベッドに転んだ舞弥と、その舞弥の頬に手を当てている男がいた。
誰だ...?
だけど、舞弥が心配な俺らは叫んでいた。
「舞弥!!!」
「姉貴!!!!」