蜜は甘いとは限らない。【完】




おやすみ。


そう言って、欠伸を噛み締めながら葵は部屋を出て行った。





「…お前、あいつになんて口止めしたんだよ」

「は?」




葵が出てって直ぐ、まだそこまで葵がこの部屋から離れてないのが分かっているのに聞いてきた寺島に、眉を寄せる。




「なんで、そんなこと聞くのよ」

「気になるから。
で?なんて言ったんだよ」




…これ、言い逃れ出来るかな。




「…その様子じゃ葵にも。希にも何も聞けなかったんだ」

「…それがどうした。てか、希って誰だ?」

「は?会社に来た時に居なかった?
焦げ茶の髪の男」



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