惚れてます、完全に。[短編]


…そういうわけで、俺らは付き合い始めた。



家が近所だから、俺のバスケ部の朝練がない時は一緒に登校し、下校は、二人とも部活がある日か二人とも休みの日に一緒にした。



かつては常にと言って良いほど一緒にいて、お互いのことを知り尽くしていた仲だったから、空白の時間が大きな穴になることはなかった。



そして、付き合って1ヶ月を迎える明日、ラッキーなことに土曜日で部活も休みな俺達は、恋人として初のデートをすることになっている。



一緒に下校した俺達は、分かれ道で立ち止まってのお喋りもほどほどに、楽しみは明日にとっておくことにした。



「じゃあね、流ちゃん!」



眩しいほどの笑顔を見せながら、手を振る夏実。



俺は軽く片手を上げて、それに応えた。



明日…楽しみだな。


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