惚れてます、完全に。[短編]
そんなこんなで、デートも終盤に差し掛かる。
澄んだ秋空は、いつの間にかオレンジ色に染まっていた。
「あっという間だね…。」
「…ほんとだな…。」
楽しい時間は、あっという間に過ぎてしまう。
特別離れる訳でもなくて、ほぼ毎日言葉が交わせて、デートだってまた行けるのに、なんだか虚しいというか…。
「ねえ流ちゃん、最後に、観覧車乗ろうよ。」
夏実の相変わらずの明るい表情と声に、俺は頷いた。
きっとこの時間なら、すごく綺麗な景色が見えることだろう。