惚れてます、完全に。[短編]
「流ちゃん。」
急に名前を呼ばれ、俺ははっとした。
外の景色から俺に視線を戻した夏実。
「…今日は、ありがとう。…大好きだよっ」
眩しい笑顔。照れも混じってる。
…あー、もう…
…我慢出来ねー。
俺は立ち上がり、夏実を見下ろした。
夏実は、ハテナ顔でじっと俺を見つめてくる。
…自覚あんのかな…。
そのきょとんとした顔も、めちゃくちゃ可愛いってこと。
でも、言葉で親切丁寧には教えてやらない。
代わりに、俺は…
夏実の座る椅子に手を突き、彼女の唇にそっと、キスを落とした。