惚れてます、完全に。[短編]
あれは…先月の、放課後のこと。
その日は、俺がバスケ部として活動している隣…つまり、半分に仕切った体育館のもう一方で、夏実の所属しているバドミントン部が活動していた。
だけれど、俺は夏実を見ないように意識していたから、目が合うことはない。
…休憩の時間になり、俺は顔を洗いたくて体育館を出た。
それで、1人で廊下を歩いていた時に…
夏実が、急にぶつかってきたんだっけな。
後ろから急に、体当たりしてきて…
…ぎゅっと、俺に抱きついた。
『な…!?』
さすがの俺も、パニくった。
夏実の声を聞くまでは、誰が抱きついているかさえ分からなかったし…。