惚れてます、完全に。[短編]



『夏実、俺、お前のこと…大好きだ。』



『…え……。』



いや、ダメだ、鈍感バカにはこれじゃ足りない。



逃げ出したくなる衝動を必死でこらえながら、俺は夏実を真っ直ぐに見た。



『…幼なじみとしてだけじゃなくて…恋愛の方だよ。


好きすぎて、どーしたら良いか分からなくなって、それでお前を…避けるようになった。』



俺の中では精一杯の告白。



俺が言い終わった途端に、夏実の体の力が抜けた。



地べたにへたり込もうとした体を、慌てて支える。



素直にしがみついて来た夏実の口からは、安堵の声が漏れた。



『…よ…良かったあ…

嫌われてたんじゃ、なかったんだね…。』


< 8 / 23 >

この作品をシェア

pagetop