惚れてます、完全に。[短編]
『夏実、俺、お前のこと…大好きだ。』
『…え……。』
いや、ダメだ、鈍感バカにはこれじゃ足りない。
逃げ出したくなる衝動を必死でこらえながら、俺は夏実を真っ直ぐに見た。
『…幼なじみとしてだけじゃなくて…恋愛の方だよ。
好きすぎて、どーしたら良いか分からなくなって、それでお前を…避けるようになった。』
俺の中では精一杯の告白。
俺が言い終わった途端に、夏実の体の力が抜けた。
地べたにへたり込もうとした体を、慌てて支える。
素直にしがみついて来た夏実の口からは、安堵の声が漏れた。
『…よ…良かったあ…
嫌われてたんじゃ、なかったんだね…。』