惚れてます、完全に。[短編]
『あのね…。』
気持ちが落ち着いたらしく、夏実はらしくない静かな声で言った。
『私もね…流ちゃんが好きなの。
避けられた時ね、寂しいだけじゃなくて、切なかったの。
なのに流ちゃんの笑顔とか真剣な顔見るとね、ちょっと嬉しくて、胸がギュッてなる…
…これが、恋なんでしょ?』
『…俺に聞くなよ、ばーか…』
憎まれ口を叩きながらも、俺は正面から夏実を抱きしめた。
『…これからは、幼なじみとしてじゃなくて、恋人として、俺のこと見ろよ?』
つい偉そうな口調になった俺に、夏実は力強く、返事をしてくれた。
『うん…!大好きっ』